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再会は突然に 2


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小林葉子は中学校の同級生だった。

3年生で初めて同じクラスになり全く目立たない女子グループに入っていたと思う。その程度しか知らなかったし、何かクラブ活動に打ち込んでいる様子も目立った雰囲気も無かった。特に頭が良くて成績抜群とか、容姿端麗で男子生徒の憧れの的という訳でもなく、身長は低め、スタイルは普通、何かと普通などこにでもいるような女の子だったと記憶している。

僕はと言えば、少々軽率で何かと行動的な「おバカな男子」を演じるのは得意中の得意で、思春期の背伸び感はいったいどこに置いてきたのか?それさえも思いつかない程度だった。愛だの恋だのはTVの中のお話で、自分自身がそういう状況の中に身を置くことになるなど想像の範囲を大きく超えていた。

念のために言っておくけど、僕自身は不細工の括りではないと思ってて、瘦せていて水泳部だったのでスタイルも良いと思っていた。

余談だけど、水泳部なのに最初は5mも泳げなかった。なぜ入ったかというと当時大の仲良しだった「正美()」が陸上部はスパイクが髙いけど水泳部だったら学校指定が400円で買えると言う。決定である。

どういうキッカケで小林葉子と話をするようになったのか?はっきりとした記憶にないが、最初は熊谷さん事件だったと思う。進路相談で3者面談が実施されてて、別日に済ましてた僕が忘れ物を取りに教室に入ろうとして面談中であることに気が付き、慌てて外に出ようとしたら、担任のM先生(女性)に呼び止められて「気になるから忘れ物なら先に用事を済ませて」と言われ、又もや教室の中へ進んでいく。その歩き方がギクシャクしてて可笑しかったのか熊谷さんのお母様が「フヒ」って笑ったような気がした。ハッと感じて声の方を見てしまう。

僕はそこに美しい形を見つけてしまった。心の中で「く・ま・が・い さんのお母さんじゃ」きっと顔が真っ赤になっていたと思う。今思えば好きな顔ってあるんだなって思うけど、余りにも純粋な反応で、僕は忘れ物を手にトットと部屋を出て行った。

翌日、何かの用事で職員室に寄った時、M先生がちょっとちょっとと呼んでいる。周りを取り囲む空気がすでに霞んでいる。嫌な予感は少し当たって斜めに突き刺さる。

「よしおか。あんた熊谷さんのことが好きなんじゃろ。」

「昨日真っ赤になっとったよ」

「バラされたくなかったら勉強しっかり頑張るんじゃね」

ハイ・イイエどちらも選択できず、モゴモゴ言いながら教室に戻った(と思う)。


いったい世の中の女子の通信網ってどうなっているのか本当に知りたい。昼の休憩時間に脅されて、終業時刻には女子間ではほとんど広がってた。それも誤解されたままに。


これは良いことなんだろうか?


【続く】





# by izutamaarunoni | 2024-03-18 21:30 | 思い出 | Trackback | Comments(2)

再会は突然に


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再会は突然に


シャッターが上がっていく。

毎朝のことなので僕は慣れているけど、この店の前がM社通勤用臨時バス停になった人達は何か辛いことでもあるのだろうか? 皆さん一様に疲れた顔をしている。

僕が自転車を出しシャッターを下ろして鍵をかけると、約30人は並んでじっと見ている。そしてその半数の強い視線を感じる。決して好意的ではない。「若造がちょっと態度が悪いなぁ。挨拶ぐらいしたらどうなんだ」という上から目線の塊であった。

迷惑なのはこっちで、タバコの吸い殻はポイ捨てし唾も吐き散らしていた。父がこの後で掃除をしなくてはならない。そんな昭和50年の秋だった。  

私は20歳になったばかりで実家に居候状態。良い年をして父親のお酒に付き合わされちょっと二日酔いだけど、「空は青いしタバコの煙さえなければ気持ちいい」なんて思いながら、自転車のサドルに跨ってペダルに足をかけようとしたその瞬間。


「ヨシオカ!待て!」いきなり右横の列から若い女が飛び出して私にその存在を見せつけようとしている。その口調は「吉岡君、お久しぶりね。コーヒーでも一緒に飲みながらお話ししましょう」とか言いそうな雰囲気は全くなく、お正月のお年玉を握って近所の駄菓子屋で時間をつぶしていたら、万引きしそうだなって思うとやっぱりやった中学生を奥から見つけたおばちゃんの精一杯の叫びのような切羽詰まった必死さを含んでいた。

おお、なんじゃぁ、久しぶりじゃのう、なんしょうるんやぁ。


「バスを待ってるの」


このフレーズは当分忘れることが出来ず、朝の8時に「バスを待ってる」女と、「自転車に乗って颯爽と去ろうとしている」男。二人の会話は果たして成り立つのか?


列の中には同じ職場の人もいたかもしれない。聞こえる範囲の人は素知らぬふりをして聞き耳を立てている。まるで給湯室の話がジワリと広がっていくのが見えるみたいだ。


「あのねぇ、時間がないから電話で話すから番号教えて」僕は上の方を見上げて店の看板を指さし、まさか大きな声で自宅の電話番号を読み上げるわけにもいかず、女は小さな体を右に倒しながら、そう、一度立った場所は足が離れると順番を取られると思っているのか、めいっぱい首を伸ばして看板に書いてある電話番号を読み取ろうとしていた。978-43〇〇と小さな声に出すとちょうどバスが来て記憶できたかどうか分からないままに乗り込んでいった。 

そのあとちょっとだけ見送ったが、何となくそれも気まずくプイと前を向いて自転車を漕ぐ。


「給湯室」という単語が頭の中を泳いでいた。


小林葉子は中学校の同級生だった。



続く






# by izutamaarunoni | 2024-03-17 20:19 | 思い出 | Trackback | Comments(2)

新しいものには注意しよう_a0352897_01041370.jpg


新しいキーボードは大変気に入ってござる。フルサイズではあるが全体的にコンパクトにできている。手の小さい女性であれば非常に使いやすいのでは無かろうか。できればこうして欲しいなど、と格安を買ったくせに「いったいどの口が」となりそうであるが一言申し上げたい。

(1) キー間が詰めてあるのか誤打鍵が多い、元々が下手なのであまり気が付かないが、恰好悪いし非効率である。特に右上のbackspaceとその右隣のinsertとよく間違えてしまう。

慣れの問題であろう。


ケーブルが邪魔をしないということがこんなにも快適とは気が付かなかった(そりゃそうじゃ、今まで見たこともなかったので)。特に家では同じテーブルの上で食事をしたり桜餅を頂いたりしてる関係で何やらゴチャゴチャしてお茶をこぼしそうなのだ。きなこ餅に関してはくしゃみ一発で…長くなりそうなのでやめ。


 これがマウスだともっとリアルに感じてしまう。細いケーブルがマウスの上側からツルッと出ており、あのケーブルの存在を右手指で軽く触れることで人は無意識に、「あ、こっちが上の方向で合ってるね」と体が覚えているんだ。そう無意識にね。意識して確認し声を出して「私が今触っている細いケーブルは有線マウスの物で上向きに出ているということは正しい向きに持っていると言うことなんだ」そんな人は居ないでしょう。

ところが私は見た。

本物のネズミちゃん。

広島駅の食堂街で見たんだ。

数人の並びに後ろから足の間を通り抜け、私の2m手前ぐらいで並んでる男性の革靴の上にピョコンと乗って一瞬立ち止まり、左右の安全を確認して店の中に入っていった。

その時の横顔が、目が細く牙はちょこっと先をのぞかせ後ろ足で加速しながら尻尾を横に倒して警戒しつつ走り去る。

 私は見てしまった。

 ネズミちゃんの尻尾は予想外に太いそして長い。長さは我慢できる。でもしっぽが生えているのは明らかに後ろ側(下側ともいう)であった。

 なにか?困ることでもあるのかい。

 あのネズミちゃんが、もしマウスに変身したらどうなる。カフカでさえ「朝起きたらゴキちゃんになってた」と言うのだ。ネズミちゃんがマウスになって何の不思議があろうか。

 きっとマウスを右手でそっと押さえ無意識にケーブルの有るほうを上だと信じ込み、何か違うと思いながら尻尾を手の中でまさぐる。

 

 あった。ケーブルだ。


 その後のことはご想像にお任せします。


ほいじゃね





# by izutamaarunoni | 2024-03-16 17:00 | パソコン | Trackback | Comments(0)

あれまぁ


あれまぁ_a0352897_21340296.jpg


今日は朝ごはん抜きである。

大腸内視鏡検査のため絶食で食べられない。

 どうでも良いことのように聞こえるが、生きて行くうえで、その「一回の食事」がいかに大事かを私は知っている。通勤中は東京名物真っ黒つゆのかけ蕎麦でさえ絶対に早く電車に乗って口にしたものだ。広島ではなか卯の朝食セット。ごはん・生卵・味噌汁・海苔でなんと250円という価格、頑張ってるね~。社長♪もう少しなんとか~♡。海苔をもう一枚プラスして…という訳にはいきません。

それにしてもこのCM訴求力の高さ素晴らしい。思わず前にのめってしまう。もう二人印象に残っているのは「買うわ!」と「ビズリーチ!」ふたりとも他のCMに進出してるけど成功してほしい人たちです。

あれ?どこからCMの話になったっけ。ついでに言うと私の一番のお勧めは「チューリッヒ」の松木里菜さん。語り調がさわやかで少しハナにかかった声が艶っぽい。

 そうです。CMの女性でごまかしたのは、「本日は内視鏡検査はありませんでした。」なのです。国立総合病院に内視鏡検査を依頼して「ハイ日程が決まりましたからxxでOK」とは行かないのですね。事前問診票の記入、総合受付医師によるヒヤリングと担当科の選別、専門医師による診察ときて初めて検査実施となり、別部屋で検査を受けるにあたって重要事項の説明と署名が必要。そこでようやくお勤めご苦労様となった。

よくまあ、こんなにアチコチ話を飛ばしながら戻ってこれたと感心するよ。検査は4月の24日だそうです。一か月以上先の話か。

お疲れさまでした。

おやすみなさい。



# by izutamaarunoni | 2024-03-15 21:37 | 食事 | Trackback | Comments(0)

その時は良いと思ったんだ_a0352897_21464445.jpg


 今回の断捨離スター「白い棚」である。全くもってセンスのカケラもない。ただただ並べて突っ込むだけだ。未だにどうしてこれを買ったのか不思議でならない。引っ越しもたくさんしてきたので大き目の食器棚3回、TVボード3回、カウンターやダイニングテーブルなど主要品を数えるだけできりがない。中に入ってた品々はDVD(book-offで買ってくれない海外版など)、記念品のような物イロイロ、香港関係雑多、思い出の品数々ぜんぶ手前にある紙袋ビニール袋に入れて処分。誰か必要とする人はいないのか?なんて考えない、その一つ一つの思い出は私だけが知っている。だからこの際そこも含めて断捨離じゃ。S・キングの小説や、各種DVDも他人に譲ってみたものの価値を感じているのは私だけで受け取った側は単なるゴミだったかもしれない(申し訳ない)。結局残ったのは小物関係で引き出し一つに入る程度であった。


 片づけた後がまた大変で、市で決まったごみの収集日に合わせて出さなくてはいけない。そうやってなんやかや片付けて一段落したところでちょいと動画を撮ってみた。


   【動画を見る】


おじさんはこの部屋で野球をサッカーを相撲を見てるのさ。

懐かしのフォークソングを聞いて涙が止まらなくなることもあるし、

ドラマや映画を見る時もあるんだよ。


ほんじゃまた。





# by izutamaarunoni | 2024-03-15 06:29 | 思い出 | Trackback | Comments(2)

日々の出来事など


by イズタマアル